日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
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トレニアアントシアニンメチル基転移酵素遺伝子の発現によるバラの花色変化
*田中 良和勝元 幸久Demelis Linda水谷 正子福井 祐子Brugliera Filippa戸上 純一中村 典子津田 晋三Mason John
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p. 820

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抄録
アントシアニンメチル基転移酵素(AMT)は、Sアデノシルメチオニンをメチル基供与体として、アントシアニンの3’位あるいは5’位などの水酸基にメチル基を転移する反応を触媒する。アントシアニンのメチル化は、アントシアニンひいては花色の多彩さに寄与している。ペチュニアから得られたAMT遺伝子(WO2003-062428)を用いてトレニア(マルビジングルコシドを主要アントシアニンとする)からAMT遺伝子(ThAMT)を取得した。大腸菌で発現したThAMTはデルフィニジングルコシドをペチュニジン、マルビジングルコシドへとメチル化する反応を触媒した。バラなどの花弁にはデルフィニジンは存在せず、メチル化アントシアニンもあまり存在しないことが色彩の単調さの一因となっている。バラで、デルフィニジンを合成するために必要なフラボノイド3’,5’-水酸化酵素遺伝子とThAMTを発現させたところ、花色が変化し、主要なアントシアニンとしてマルビジングルコシドが生成した。また、ペチュニジン、ペオニジングルコシドも蓄積された。AMTが花色を多彩にする上で有用なツールであることが示された。バラなどの花の色彩が将来はもっと豊かになることが期待される。
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© 2007 日本植物生理学会
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