日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
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シングルMYBドメイン転写因子、AtMYBL2のフラボノイド生合成制御に関する研究
*松井 恭子高木 優
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p. 822

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抄録
シロイヌナズナにおいて、フラボノイド生合成および表皮細胞分化の制御には、MYB転写因子、bHLH転写因子、更にはWD40タンパクであるTTG1が複合体を形成し関与していることが知られている。シングルMYBドメイン転写因子であるCPC, TRY, ETC1, ETC2, ETC3およびAtMYBL2は表皮細胞分化を制御することが報告されている。ところが、フラボノイド生合成に関与するシングルMYBドメイン転写因子の報告はこれまでにない。そこで、フラボノイド生合成に関与するシングルMYB転写因子を遺伝子サイレンシング手法であるCRES-Tを用いて探索した。その結果、35S:AtMYBL2SRDX植物体のT2種子が高頻度で黄褐色であった。また、ロゼット葉のアントシアニン量の顕著な減少も認められた。一方、過剰発現体35S:AtMYBL2においても35S:AtMYBL2SRDX形質転換植物体と同様の表現型が見られたこと、およびトランジェントアッセイからAtMYBL2はリプレッサーであることが示された。更に、AtMYBL2の転写抑制ドメインがC末領域にあることが判った。このドメインを欠損させた形質転換植物、並びにAtMYBL2 T-DNA タグラインでは、野生型植物に比較してフラボノイド生合成酵素の1つであるDFRの発現が顕著に上昇し、且つロゼット葉のアントシアニン量は増加していた。これら知見からAtMYBL2は転写抑制活性を有し、フラボノイド生合成を負に制御すると推察される。
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© 2007 日本植物生理学会
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