日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
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ムラサキ由来ゲラニルジリン酸合成酵素の機能解析
*宮脇 達也佐々木 佳菜子山本 恭子小原 一朗櫻井 望鈴木 秀幸柴田 大輔矢崎 一史
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p. 823

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抄録
ムラサキ(Lithospermum erythrorhizon)はその根部でナフトキノン系二次代謝産物のシコニン誘導体を生産・蓄積している。シコニン生合成はメバロン酸経路由来のゲラニルジリン酸(GPP)とシキミ酸経路由来のp-ハイドロキシ安息香酸との縮合を経て行われるが、このGPPはトレーサー実験によりメバロン酸経路に由来すること、さらに生化学的解析から、ムラサキのGPP合成酵素は現在知られる高等植物の中で唯一、細胞質局在であることが証明されている。このGPP合成酵素の実体を解明すべく、EST情報を基に細胞質局在という観点からFPP合成酵素と相同性を示すものを候補遺伝子とし、RT-PCRにより全長cDNA(LeFPPS)を得た。Hisタグを利用して精製したLeFPPSはGPPとIPPを基質としてFPPを合成する活性を示したが、DMAPPを基質としたGPP及びFPP合成活性は検出できなかった。しかし、ノザン解析によりシコニンの蓄積と一致する発現パターンを示すことが明らかになり、LeFPPSはムラサキ細胞内ではGPP合成能を示すと推察された。この仮説の下、ムラサキ無細胞抽出液と精製LeFPPSを混合したところ、FPP合成活性が検出されなくなる一方、強いGPP合成活性が検出された。これらのことからLeFPPSがGPP合成酵素の触媒サブユニットとして機能している可能性が示唆された。
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© 2007 日本植物生理学会
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