日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
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ヨウシュヤマゴボウにおけるベタシアニン生合成関連酵素DOPA dioxygenaseの単離と解析
高橋 加奈*作田 正明
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p. 829

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抄録
高等植物において、赤色の多くはアントシアニンにより発色されている。それに対し、ナデシコ科、ザクロソウ科を除くナデシコ目植物ではアントシアニンは合成されず、その赤色はベタシアニンによって発色されている。我々はナデシコ目植物のベタレイン生合成系について解析を行っており、今回、ベタシアニンの生合成酵素であるDOPA dioxygenase (DOD) に注目し、その遺伝子の単離と解析を行った。
ナデシコ目植物であるヨウシュヤマゴボウ (Phytolacca americana) の培養細胞から、RACE法によりDODのORFを含むcDNAを単離した (PaDOD)。これと既知のcDNAとの構造をアミノ酸レベルで比較したところ、ビート (Beta vulgaris) とは71%、マツバボタン (Portulaca grandiflora) とは68%の相同性が見られ、ベタレイン合成植物のみに共通して見られる保存配列が確認された。また、PaDODの発現パターンを半定量的RT-PCRで解析したところ、赤色培養細胞ではベタシアニン蓄積前に多く発現することが分かった。植物体においては、ベタシアニン蓄積の見られる紅葉や茎の表皮、赤く色づいた実だけでなく、緑色の葉や茎、花芽でも発現が見られた。これらの結果をもとに、ヨウシュヤマゴボウにおけるDODの機能についてさらなる解析を進めている。
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© 2007 日本植物生理学会
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