抄録
花卉園芸植物ではアントシアニンが葉で恒常的に発現した‘銅葉’は好まれており活用されている.それらは多くは枝変り(自然突然変異)として得られているが,代表的な花壇用の園芸花卉であるペチュニアでは銅葉は知られていない.今回,我々はアントシアニンの転写因子に着目して解析を行った.紫イネの原因遺伝子として単離されたOSB2遺伝子はbHLH型の転写因子をコードしている.これをCaMV 35Sプロモーターにつなぎペチュニア品種‘パープルウェーブ’に導入したところ,一部の個体の葉縁部にのみアントシアニンの蓄積と思われる着色が見られた.また別のmyb型転写因子の遺伝子を導入した個体と交配したところ,葉や花にアントシアニンを多く蓄積するものが得られた.これらの結果について考察する.