日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
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在来および帰化マンネングサ属の水利用効率の比較
*森 泉榎本 敬且原 真木
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p. 842

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抄録
粗放型薄層屋上緑化には乾燥に強いCAM植物であるマンネングサ属の植物が多く利用されている.なかでも帰化種であるメキシコマンネングサ・オウシュウマンネングサが最も広く用いられている.本研究では在来マンネングサ属の植物3種の蒸散速度を帰化種4種と比較した.
在来種のセトウチマンネングサおよびマルバマンネングサは帰化種であるメキシコマンネングサ・オウシュウマンネングサ・オノマンネングサおよびツルマンネングサと同程度の低い蒸散速度を持ち,乾燥に強いことが示された.一方,コモチマンネングサは約10倍の蒸散速度を示し,比較的乾燥に弱いことが示された.このことは逆にコモチマンネングサは水が十分にある環境ではその他のマンネングサ属の種に比べて,建物冷却効果が高いことを示している.これらマンネングサ属の蒸散速度は地上部の重量で標準化した場合に最もばらつきが少なく,根の水分吸収は蒸散の律速要因ではないことが示唆された.
セトウチマンネングサおよびマルバマンネングサは少なくとも水利用/乾燥耐性については現在屋上緑化に利用されている帰化マンネングサと同様の能力を備えており,粗放型薄層緑化をより生態学的に負荷が小さいと思われる在来種に変更することができる可能性が示唆された.また,より冷却効果を期待する場合には新たにコモチマンネングサを用いて屋上緑化を行うと良い結果が得られるかもしれないことが示唆された.
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© 2007 日本植物生理学会
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