抄録
アクアポリンは水やその他の小分子を輸送する膜タンパク質で、生物界に広く存在している。シロイヌナズナのアクアポリンは35種類存在し、4つのグループ(PIP、TIP、NIP、SIP)に分けられる。本研究ではこの中で機能未知な部分の多いNIPグループ9分子種のうち4分子種(NIP1-1、NIP1-2、NIP5-1、NIP6-1)にスポットをあて、水透過能の測定、細胞内局在、組織特異的発現等を解析した。
各NIPを発現させた酵母膜小胞を用い、ストップトフロー光散乱法により水透過能を測定した結果、4分子種共に水透過能は非常に小さいことが示された。また、GFPとNIPの融合遺伝子をシロイヌナズナ培養細胞で発現させたところ、NIP1-1、NIP1-2、NIP6-1において、細胞膜や液胞膜ではなく小胞体への局在を示唆する結果が得られた。また、アグロバクテリウムを用いてpromoter-GUS導入植物体を調製し解析したので、組織特異的発現についても報告する。