日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
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シロイヌナズナホウ酸トランスポーターの極性を持った細胞内局在とホウ素に依存したエンドサイトーシス
*高野 順平豊田 敦至三輪 京子藤原 徹
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p. 846

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抄録
ホウ素は高等植物の必須元素の一つであり、細胞壁の構造維持に働く。ホウ素はまた、過剰に存在すると植物に害を及ぼす。シロイヌナズナBOR1はホウ素の導管への積み込みを担う排出型ホウ酸トランスポーターである(Takano et al. 2002)。私たちは、カリフラワーモザイクウイルス35S RNAプロモーター制御下でBOR1-GFP融合タンパク質を発現する形質転換植物の根端の細胞において、BOR1-GFPは低ホウ素条件下に細胞膜に局在するが、高濃度のホウ酸添加によってすみやかにエンドソームへ移行し、液胞において分解されることを明らかにした (Takeno et al. 2005)。
本発表では、BOR1プロモーターの制御下で発現したBOR1-GFP融合タンパク質の細胞内局在とそのホウ素条件による制御について報告する。BOR1-GFPは低ホウ素条件下に、根の成熟した領域においては中心柱の細胞に局在し、根端の領域においては表皮と皮層を含む様々な細胞に局在した。特に表皮細胞においては根の基部側(内側)の細胞膜に偏在していた。これらの結果から、BOR1は根の成熟した領域では導管へホウ酸を積み込み地上部へホウ素を送る役割を、根端の領域ではより内側の細胞層へホウ酸を輸送し伸長中の細胞壁にホウ素を供給する役割を担うものと考えられる。
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© 2007 日本植物生理学会
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