抄録
Thorlbyら(2004)はアラビドプシスのsfr2 (sensitive to freesing 2)遺伝子がその凍結耐性に深く関与することを報告した。しかし、アラビドプシスsfr2遺伝子自身の発現は低温では誘導されず、恒常的に発現することが明らかになった。一方、アラビドプシスsfr2遺伝子はその推定アミノ酸配列に基づき、family 1 glycosyl hydrolase (GH1)に分類された。また、実際にタンパク質として発現されたsfr2は特定の基質に対してβ-グルコシダーゼ活性を示した。我々はイネに存在する約40個のβ-グルコシダーゼ関連遺伝子の機能解析を進める中で、アラビドプシスのsfr2遺伝子がGH1に分類されることから、sfr2遺伝子のイネホモログの検索を試みた。その結果、遺伝子データベースの中にアラビドプシスsfr2に対して約60%のアミノ酸レベルの相同性を示すcDNA(OsSFR2)を検出した。イネOsSFR2の遺伝子特異的プローブを用いた発現解析ではOsSFR2が低温に対して特異的に応答し、その発現が増大することが解明された。また、OsSFR2の低温誘導は発芽したイネ種子の若い葉で組織特異的におこり、根や胚乳の組織では発現しないことが分かった。これらの結果は、β-グルコシダーゼモチーフをもつOsSFR2遺伝子産物が、イネの葉における低温ストレス応答に何らかの重要な役割を果たすことを示唆する。