日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
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ジャガイモ低温貯蔵中の糖変動に関わる酸性インベルターゼ遺伝子の特性
*遠藤 千絵小林 晃瀧川 重信野田 高弘橋本 直人山内 宏昭森 元幸
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p. 889

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抄録
ジャガイモ塊茎の低温貯蔵における糖の変動には品種間差がある。これまでに、4℃貯蔵での糖変動は品種により「還元糖増加型」「糖量低推移型」「ショ糖増加型」の3タイプに分類でき、これには酸性インベルターゼ活性が関与することを示してきた。そこで上記3タイプを示す3品種:メークイン、ホワイトフライヤー、インカのめざめを用いて、酸性インベルターゼ遺伝子の特性を比較解析し、変動様式に品種間差を与える要因を探った。
メークインにおける酸性インベルターゼ遺伝子の翻訳領域1920bpの塩基配列は、植物の酸性インベルターゼに高度に保存されているβ-fructosidase motif、Cysドメインなどを持つことがわかった。また、ゲノミックサザン解析から同遺伝子のゲノム内コピー数は3品種とも1コピーと推定された。翻訳領域内に切断サイトが存在しない制限酵素での切断では、同遺伝子の発現が見られるメークイン、ホワイトフライヤーで同サイズのDNA断片が検出されたが、発現の見られないインカのめざめでは前2品種とは異なるサイズの断片が検出された。これらから、インカのめざめでは非翻訳領域、プロモーター領域が前2品種とは異なっていると示唆され、これにより同遺伝子の発現が抑制されていると推定された。現在、これら3品種のプロモーター領域を解析している。
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© 2007 日本植物生理学会
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