日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
会議情報

コケアブシジン酸低感受性変異株における凍結・脱水ストレス耐性の変化
*竹澤 大輔
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 893

詳細
抄録
蘚類ヒメツリガネゴケの原糸体細胞は、最適な生育条件で生育した場合に、-3Cの凍結や0.6Mの高張液処理により著しい傷害を受けるが、アブシジン酸(ABA)を含む培地で1日培養すると、-6C以下の凍結や1Mの高張液処理にも耐えるようになる。ABA依存的におこる細胞内変化と情報伝達過程を解析するために、紫外線で変異処理した原糸体から、ABAに対して低い感受性をもつAR変異株を分離した。これら変異株のうち、通常の培地上で生育した場合の耐性は野生株と同様であるが、ABAにより凍結・脱水耐性を獲得できないAR7株について、可溶性糖や熱可溶性タンパク質の解析を行った。1日ABA処理したAR7株原糸体のスクロース含量は、未処理のものと比べて顕著に増加していたが3糖テアンデロースの蓄積はわずかであった。一方、熱可溶性タンパク質の蓄積は、その多くが野生株と比べて量的に減少してはいたが、その蓄積量はタンパク質によって差が見られた。今回の発表では、これら解析の結果と、ABA応答的な細胞構造変化の解析結果についてもあわせて報告し、それらの関連について考察する。
著者関連情報
© 2007 日本植物生理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top