抄録
植物体内に共生している微生物(エンドファイト)は、植物の生育向上や耐病性、耐虫性の増強等の多彩な効果をもたらすことが知られている。イネ葉組織から単離された細菌エンドファイトHerbaspirillum sp.とAzospirillum sp.を人工接種したイネの耐病性誘導効果を検証したところ、イネいもち病抵抗性が増強されていることが明らかとなった。さらに、これらの菌株はシロイヌナズナにも共生可能であり、病原性細菌Pseudomonas syringae pv. tomato DC3000に対する病害抵抗性も付与することが示された。
植物の耐病性誘導には、サリチル酸およびジャスモン酸/エチレンが関与していることが知られている。そこで本研究では、シロイヌナズナのサリチル酸シグナル欠損株(NahG、npr1)およびジャスモン酸/エチレンシグナル欠損株(jar1、ein2)を用いて、Pst DC3000に対する耐病性誘導効果を解析して、エンドファイト処理による耐病性に関与する因子の同定を試みた。その結果、これらの変異株のうちein2ではエイドファイトによる耐病性付与効果が認められないことが明らかとなった。以上の結果から、これらの菌株による病害抵抗性誘導シグナルにはサリチル酸、ジャスモン酸は関与していないが、エチレンが関与している可能性が示唆された。