抄録
マメ科植物の根粒形成は根粒菌の分泌するNod factorを受容することによって誘導される。根粒菌を接種しても皮層細胞の分裂が誘導されず、根粒が形成されない変異体は根粒非着生変異体(Nod-)と呼ばれ、それらの原因遺伝子はNod factorの受容から共生遺伝子発現に至るシグナル伝達系に関わっている。近年マメ科のモデル植物ミヤコグサではNfr1, Nfr5, SymRK, Castor, Pollux, Nup133, Nup85, CCaMK, Nsp2, Ninの10遺伝子が特定されている。今回我々はゲノム欠失を目的としたイオンビーム照射から、新たにNsp1様遺伝子に欠失変異をもつミヤコグサNod-変異体を単離したので報告する。
ミヤコグサの早咲き系統Miyakojima MG-20の種子にC6+イオンを80Gy照射し、M1植物560系統の後代に根粒菌を感染させた。スクリーニングの結果、5系統のNod-変異体を単離することに成功した。次に、ミヤコグサのゲノム情報からタルウマゴヤシMtNsp1と高い相同性を示す遺伝子LjNsp1を見いだし、得られたNod-変異体で調べたところ1系統3122において、プロモーター領域を含む1366 bpの欠失が見つかった。LjNsp1はGRASファミリーに属する転写因子様たんぱく質をコードし、NSP2と相互作用して根粒形成特異的な遺伝子発現を制御していることが予想された。