抄録
我々は、有用植物であるトマトとユーカリ、そして植物に害を及ぼさず植物体に内生する菌であるバクテリアエンドファイトについて、比較ゲノム研究に向けた基盤データの収集、遺伝子制御システムの解明を目的としたゲノム塩基配列解析を進めている。トマトゲノム解析は国際プロジェクトとしておこなわれており、我々は8番染色体を担当する。長さが約17 Mbと見積もられている8番染色体のユークロマチンについて、遺伝地図上に配置されたBACクローンの配列を解析し、2006年11月現在、40クローン(合計4.4 Mb)の解析を完了した。つづいて、20クローンの解析を進めている。ユーカリのゲノムサイズは約650Mbであり、ゲノム解析は断片的なゲノム配列の蓄積によりおこなわれている。現在、合計286万readsのランダムゲノム配列が蓄積され、これらは平均3倍重複度でゲノムをカバーすると予想される。バクテリアエンドファイトには、耐病性や成長促進効果など宿主植物へ有用特性を付与できることが期待される。そこで、イネから分離された21菌株についてゲノム解析を進めている。いずれの菌株もゲノムサイズの平均3~4倍重複度に相当するランダムゲノム配列を蓄積し、比較解析のベースとなる合計約108Mbのドラフトゲノム配列を構築した。そこで本研究報告では、これらのゲノム解析の現状について紹介する。