抄録
矮性トマト品種であるマイクロトムは、蛍光灯下の実験室の棚でも約3ヶ月で生育し、栽培が容易な品種である。我々は、マイクロトムの葉と果実に由来する完全長cDNAライブラリーの作製を進めてきており、現時点で、57,271個のESTの配列を得ている(Acc. BW684914-BW692959, DB678295-DB727670)。そして、これらのESTを元に、非冗長なcDNA配列をもつクローンを選抜し、完全長配列の解読を行っている。現時点では、1673個のクローンの完全長のドラフト配列が得られており、順次、国際塩基配列データベースから公開を進めている(Acc AK224591-AK224910, AB211518-AB211526)。得られたESTと完全長配列は、アミノ酸配列データベース(nr)、および、イネとシロイヌナズナのアミノ酸配列に対して相同性を調べると共に、完全長配列に対しては、InterProを用いたタンパク質機能ドメインなどの推定を進めている。また、完全長配列は、ゲノム構造の解明に有用な情報であるため、国際コンソーシアムの下で進行しているトマト・ゲノム解読プロジェクトから提供されているゲノム配列と比較し、エクソン-イントロン領域の予測も行っている。これらの結果は、構築したデータベースKaFTom (http://www.pgb.kazusa.or.jp/kaftom/)から閲覧が可能である。