日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
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ソバが分泌するアレロパシー化合物のトランスクリプトーム分析
*Golisz Anna菅野 真実藤井 義晴
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p. 956

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抄録
Fagopyrum esculenthum は、強いアレロパシー特性を持つ作物の一つである。すでに我々は、ソバから8種のアレロパシー化合物を同定しているが、その中でも重要な2種の化合物、ルチンと没食子酸について、マイクロアレイを用いて分析した。ルチンは最も強い全活性を、没食子酸は最も強い比活性を示す化合物である。解析は、20日齢のシロイヌナズナの遺伝子発現について、Affymetrix社のGeneChips ATH1を用いておこなった。上記の化合物に6時間暴露したところ、没食子酸では168の遺伝子が、ルチンでは55の遺伝子が、それぞれ高発現したことがわかった。しかし、両者に共通して高発現となったのは、14遺伝子のみであった。本研究により、ストレスに反応して植物を制御する重要な遺伝子のいくつかが明らかになった。誘導された遺伝子は、異なる機能に分類されるもので、代表的なものは、「代謝」、「細胞レスキュー・細胞防御および毒性」、「細胞間情報伝達機構」および「転写」などである。本研究は、今後、雑草の生物的防除を進めるにあたって必要な「アレロパシー化合物」の作用機構の解明に寄与するものである。
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© 2007 日本植物生理学会
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