日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
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幼苗期イネにおいてジベレリンで変動するASR5の解析
*高崎 寛則松本 宏小松 節子
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p. 961

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抄録
イネにおける茎葉伸長はジベレリン(GA)との関わりから遺伝学的、分子生物学的解析により明らかにされつつあり、幼苗基部はイネの成長に必要なタンパク質群を発現していることが明らかになったがその機構は不明な点が多い。幼苗基部におけるGAの役割を明らかにするために幼苗基部で発現するタンパク質を包括的に解析した。幼苗期イネはGAにより処理濃度、時間に依存して節間が伸長し、5 μM GA3 24時間処理において顕著であった。本条件を用いて幼苗基部よりタンパク質を抽出し、2D-DIGEによって発現を比較した結果5個の増加、1個の減少するスポットを検出した。質量分析計による解析の結果、elongation factor 1 beta、21 kDa polypeptide、abscisic acid, stress and ripening 5(ASR5)、fructose-diphosphate aldolaseであった。GAにてタンパク質レベルで濃度依存的、経時的に顕著に変動するASR5は、転写レベルではGA処理で変動しなかった。さらに、ASR5のポリクローナル抗体を調製し、GA、ABA処理による発現量、核における局在を調べたところ、GAとABA両方の処理において上昇し、また、核と細胞質の両方に存在した。以上のことより、イネにおいてASR5はGA、ABA両方の制御をうけることが示唆された。
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© 2007 日本植物生理学会
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