日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
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電子線トモグラフィー -分裂準備帯における膜系の3次元微細構造解析-
*唐原 一郎須田 甚将Staehelin Andrew峰雪 芳宣
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p. S021

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抄録
生体ナノシステムのサイズである1~10nmという大きさは、光学顕微鏡観察とX線解析の狭間であり、電子顕微鏡が必要な世界である。電子線トモグラフィーは、このサイズの生体ナノシステムを3次元的に見るのに必要な電子顕微鏡技術として注目されている。この技術に加圧凍結・凍結置換の手法を組み合わせることで、信頼性の高い3次元微細構造解析が可能となり、この組み合わせは細胞における膜系の動態解析に特に威力を発揮している。
分裂準備帯(PPB)は植物細胞の細胞分裂直前に出現する微小管の帯である。PPBは前中期に消失するが、PPBの存在していた位置で細胞板が親の細胞壁と接続するため、細胞板の挿入に必要な因子がPPBの位置に蓄積されると考えられている。PPBには古くから小胞が観察されている。最近のライブイメージングを用いた研究により、エキソサイトーシス小胞がこの蓄積に関わるという仮説は疑問視され始めている。そこで筆者らは、電子線トモグラフィーと加圧凍結・凍結置換の手法を組み合わせ、分裂準備帯における小胞輸送を微細構造レベルで定量的に解析した。その結果、分裂準備帯においてはエンドサイトーシスが活発に起こっていることがわかってきた。ここでは電子線トモグラフィーの方法論から実際の研究例まで含めて紹介する。
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© 2007 日本植物生理学会
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