抄録
植物細胞におけるC/N比は厳密に制御を受けていること、光合成増大により生育や細胞数が増加するという事実から、光合成炭素代謝は窒素代謝、形態形成など様々な代謝系に大きく影響を及ぼすと思われる。我々はこれまでに、1)葉緑体カルビン回路で機能するフルクトース-1,6-/セドヘプツロース-1,7-ビスホスファターゼ(FBP/SBPase)を葉緑体に導入することにより、光合成CO2固定能の増大、生育促進が見られること、2)細胞質にFBP/SBPaseを導入した植物は、高CO2環境下では側枝数、葉数が増加し、野生株とは異なる形態になることを示してきた。そして、これら形質転換植物では、ソース/シンク器官での光合成代謝中間体および光合成産物の炭素分配比が異なっていることも明らかにしている。そこで本研究では、光合成炭素代謝の制御が、細胞数制御、形態形成、窒素代謝および他の代謝系に及ぼす影響を明らかにすることを目的とし、これら形質転換植物を用いて、種々の代謝系酵素遺伝子発現量の比較、および代謝制御因子となる炭素代謝中間体の探索を試みている。これらの結果から、炭素代謝を中心とした植物における代謝制御機構について、今後の展望も交えて考察したい。