日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第49回日本植物生理学会年会講演要旨集
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シロイヌナズナのsnRNA転写活性化因子をコードする遺伝子SRD2の発現制御に関する解析
*春山 誠大谷 美沙都杉山 宗隆
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p. 0004

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抄録
シロイヌナズナの突然変異体srd2は、胚軸の脱分化、シュート再生、根の発達などに強い温度感受性を示す。その責任遺伝子SRD2はsnRNA転写活性化因子をコードしており、snRNA蓄積レベルの調節において重要な役割を果たしている。
SRD2遺伝子の-1,908~+152の領域(+1は翻訳開始点)をGUS構造遺伝子につないで作成したレポーターは、芽生えにおいては、茎頂、根端、根の中心柱で強く発現するが、胚軸では発現しない。レポーター株の胚軸断片を培養すると、切り口近傍などに傷害応答と思われる発現が広く誘導され、中心柱では脱分化に関連した著しい発現上昇が見られる。このレポーター遺伝子の上流部を順次削っていくことで、SRD2発現のシス制御領域の絞り込みを行った。その結果、-1,214より上流の領域を削っても、芽生えにおける発現パターンは影響されないことが判明した。またこのとき、胚軸断片を培養して脱分化を誘導すると、中心柱での発現上昇は起きたが、他の組織での広範な発現は観察されなかった。これより、SRD2の発現制御は主に-1,214以降の領域が担っているが、傷害応答はその上流に制御域があることが示唆された。
一方、SRD2遺伝子の発現調節機構を遺伝学的に解析するため、SRD2::GUSの発現パターンに異常を示す変異体の単離も並行して進めている。その結果についても併せて報告する予定である。
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© 2008 日本植物生理学会
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