日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第49回日本植物生理学会年会講演要旨集
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シロイヌナズナ膜結合型NAC転写因子(HLN)の強光条件下における活性化機構の解析
*小島 雄介森下 輝之西澤 彩子薮田 行哲重岡 成
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p. 0005

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抄録
これまでに我々はシロイヌナズナの強光ストレス応答機構を解析する中で、強光応答性のNAC転写因子(High-light inducible NAC:HLN)を同定した。NAC転写因子は植物に特異的な転写因子で、N末領域にはDNA結合に関与するNACドメインが存在し、C末領域には転写活性化領域を含んでいる。興味深いことに、HLNはC末端に膜貫通ドメインを有していた。またHLN過剰発現株において通常条件下では標的遺伝子の誘導が認められなかった。以上のことから、HLNは通常条件下では膜に局在しており、ストレス条件下では膜から解離し、核に移行して機能していることが考えられた。本研究では、強光ストレス条件下におけるHLNの転写活性化機構の解析を試みた。
HLNの細胞内局在性を検討するため、CaMV 35Sプロモーター制御下でHLN全長、膜貫通領域欠失型(ΔTM)のN末端にGFPを融合させたコンストラクトを作出し、タマネギ表皮細胞に導入した。その結果、全長HLNは細胞全体に、HLNΔTMは核に局在することが明らかとなった。また、HLNの転写活性化能を検討したところ、HLNΔTMが転写活性化能を有していたことから、膜から切り離されたHLNが転写因子として機能することが示唆された。現在、HLNのストレス条件下における局在の変化および、HLNタンパク質の修飾に関わる因子についても検討している。
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© 2008 日本植物生理学会
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