抄録
これまで我々は、ダイズearly light-inducible protein (ELIP) 遺伝子の発現が青色光/UV-A特異的に光誘導されること、および、その光誘導発現にはELIP遺伝子プロモーター中に存在するGT-1ボックス様配列 (GTGTGGACAA)とGボックス様配列 (CCACGTGA) の2つのシスエレメントが必要かつ十分であることを報告した。本研究では、これらのシスエレメントに結合する転写因子を解析した。まず、プライマー伸長法により、ELIP遺伝子の開始コドンより222塩基上流のCを転写開始点と決定した。次に、ダイズの転写因子GmGT-1 cDNAをPCR法でクローニングし、大腸菌中で発現・精製した。さらに、組換えGmGT-1のELIP遺伝子プロモーターへの結合をゲルシフト分析により解析した。GmGT-1は377アミノ酸から成り、トリヘリックス構造のDNA結合領域を持つ他の植物由来GT-1と高い相同性を示した。組換えGmGT-1タンパク質は、ELIPプロモーター中のGT-1ボックスおよびGボックスを含む領域に強く結合した。これらの結果より、GmGT-1はELIP遺伝子の青色光/UV-A誘導発現に関与することが示唆された。