日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第49回日本植物生理学会年会講演要旨集
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シロイヌナズナにおける低温ストレス誘導性転写因子遺伝子DREB1の転写制御機構の解析
*城所 聡圓山 恭之進中島 一雄井村 喜之藤田 泰成刑部 祐里子篠崎 一雄篠崎 和子
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p. 0007

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抄録

植物の持つ転写因子DREB1/CBFは、DRE/CRT/LTREと呼ばれるシス配列に特異的に結合し、低温・乾燥・高塩といったストレスへの耐性獲得に関わるストレス誘導性遺伝子群の発現を制御する。シロイヌナズナにおいて、DREB1A, 1B, 1C遺伝子の発現は低温条件下で一過的に誘導される。これらのプロモーター領域の相同性が非常に高いことから共通の転写制御機構を持っていると考えられた。そこで、本研究ではDREB1の発現制御機構について解析を行なった。
DREB1Cのプロモーター配列をつないだGUS遺伝子を導入した形質転換植物の解析により、シス配列を含む67bpの領域を同定した。この領域には、転写を正に制御する配列と、負に制御する配列の両方が含まれていた。そこで、酵母のワンハイブリッド法により、この配列に結合するタンパク質をコードするcDNAクローンを単離した。このcDNAクローンはbHLHタイプの転写因子ファミリーに属するbHLH072遺伝子をコードしていた。bHLH072はフィトクロムと相互作用を持つbHLH型転写因子PIL/PIFファミリーと相同性を持っていた。また、形質転換植物体を用いた解析の結果、bHLH072遺伝子は葉で恒常的に発現し、タンパク質は核に局在した。さらに、トランジェント発現系による解析から、bHLH072は転写抑制能を持つ転写因子であることが示された。現在、我々はbHLH072を過剰発現する形質転換植物体及びT-DNA挿入変異植物体を用いてDREB1の発現を解析している。

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© 2008 日本植物生理学会
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