日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第49回日本植物生理学会年会講演要旨集
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植物はジャスモン酸・エチレンシグナルの協調的な働きによりセレン耐性・高蓄積性を獲得する
*玉置 雅紀Pilon-Smits ElizabethFreeman John
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p. 0030

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抄録

我々はセレン耐性の異なる2種類のシロイヌナズナ生態型(セレン耐性;Col-0、セレン感受性;Ws-2)のセレン応答性を比較することにより、植物のセレン耐性機構について解析を行った。DNAアレイ法による遺伝子発現解析を行った結果、セレン耐性のCol-0ではセレンの添加により植物ホルモン(エチレン・ジャスモン酸)により誘導される防御遺伝子の発現増加が顕著であった。そこでこれらの植物ホルモンの蓄積量を調べたところ、セレン投与によるエチレンやジャスモン酸量の増加はCol-0において顕著に見られた。このことからこれらの植物ホルモンのセレン耐性への寄与が考えられた。そこで、Ws-2にこれらの植物ホルモンをセレンと共に添加した培地上で生育させたところ、Ws-2のセレン耐性が添加した植物ホルモンの濃度依存的に上昇することが観察された。またCol-0由来のエチレンやジャスモン酸の合成・シグナル伝達欠損変異体のセレン耐性を解析したところ、これらの変異体におけるセレン耐性は野生型に比べ著しく低下していた。以上の結果から、これらの植物ホルモンはセレン耐性の獲得に必要な要素であることが明らかになった。また本発表ではこれらの植物ホルモンのセレン耐性に対する作用機作及び活性酸素の関与についても議論したいと考えている。

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© 2008 日本植物生理学会
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