日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第49回日本植物生理学会年会講演要旨集
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クマリン化合物生合成における側鎖異性化およびラクトン化反応
*清水 文一山本 亮太郎川村 直裕甲斐 光輔水谷 正治
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p. 0041

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抄録
クマリン化合物は2H-1-benzopyran-2-one構造を基本骨格に持つ二次代謝産物で植物界に広く見られる。抗菌・抗酸化活性を示し、病原菌の侵入や傷害ストレスによって誘導されることから、植物の病害抵抗性に関与しているものと考えられる。その生合成は、フェニルプロパノイド経路上に存在する桂皮酸類のオルト位水酸化、側鎖のトランス―シス異性化、ラクトン化反応を経て進行する。我々はこれまでに、シロイヌナズナにおいてferuloyl-CoA 6'-位水酸化酵素(AtF6'H1)がscopoletin生合成の鍵段階を触媒することを示した。一般に、クマリン化合物生合成において、桂皮酸類のオルト位水酸化に続く側鎖異性化反応は光によって進行していると考えられてきた。しかしながらサツマイモ根塊など暗条件下でもクマリン化合物を蓄積する植物が存在するなど、クマリン化合物のラクトン形成には不明な点が残されている。本研究では、AtF6'H1の触媒反応によって生成する6'-hydroxyferuloyl-CoAの溶液中の挙動に注目し、側鎖異性化およびラクトン化反応がどのように進行しているのかを検討した。その結果、AtF6'H1触媒反応の後に生ずる異性化、ラクトン化は無酵素的かつ自発的に進行しscopoletinを生成した。
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© 2008 日本植物生理学会
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