日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第49回日本植物生理学会年会講演要旨集
会議情報

サクラの香気成分クマリンの生成に関わるオルト位水酸化酵素およびグルコシダーゼのクローニング
*山本 亮太郎酒井 英里甲斐 光輔水谷 正治清水 文一
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 0042

詳細
抄録

クマリンはサクラ(Cerasus lannesiana)の花や桜餅の甘い香りの主成分である。クマリン生合成は桂皮酸のオルト(2'-)位水酸化を経て進行すると一般に考えられているが、桂皮酸オルト位水酸化酵素は同定されていない。我々はこれまでに、シロイヌナズナのスコポレチン生合成の鍵酵素であるフェルロイル-CoA オルト(6'-)位水酸化酵素(AtF6'H1)を同定した。桂皮酸オルト位水酸化酵素は桂皮酸類のオルト位を水酸化する点でAtF6'H1と共通しており、AtF6'H1と類似した酵素である可能性が示唆される。また、サクラ葉には遊離のクマリンはほとんど含まれていないが、葉には前駆体として2'-ヒドロキシ桂皮酸のグルコシドが蓄積している。傷害を受けると、グルコシドはβ-グルコシダーゼの作用により加水分解されたのち、遊離した2'-ヒドロキシ桂皮酸は自動的にラクトン化してクマリンを生じる。そこで本研究では、桂皮酸オルト位水酸化酵素およびβ-グルコシダーゼのクローニングを目的として、オオシマザクラ葉のcDNAライブラリーを作製し、各種プローブを用いてスクリーニングを行った。

著者関連情報
© 2008 日本植物生理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top