日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第49回日本植物生理学会年会講演要旨集
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ニンジン及びハマボウフウ培養細胞におけるアントシアニンアシル基転移酵素の基質特異性比較
*松葉 由紀奥田 裕樹阿部 裕北村 美江寺坂 和祥水上 元鎌倉 浩之川原 信夫合田 幸広佐々木 伸大小関 良宏
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p. 0044

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抄録
近年、アントシアニンのアシル基転移酵素(AAT)について、アシルCoA を donor とするものについての研究が進められてきた。これに対し、1992年にニンジンのアントシアニン合成培養細胞においてアシルグルコースを donor とする AAT(AGDAT) 活性が報告されている。しかし基質であるアシルグルコースの調製が困難であったため、AGDATについての研究は遅れていた。今回、大腸菌で生産したセンニチコウ由来のシナピン酸配糖化酵素にアラビドプシス由来のスクロース合成酵素を利用した UDP-グルコース再生系を組み合わせることで、4種類のアシルグルコースを効率よく酵素的に合成する系を確立した。
調製したアシルグルコースを基質として、ニンジン (Daucus carota) のアントシアニン合成培養細胞と、その近縁種でありながら主要アントシアニン色素のアシル基のみが異なるハマボウフウ(Glehnia littoralis)のアントシアニン合成培養細胞由来の粗酵素液中におけるアシル基転移酵素の基質特異性を検討した結果、両種の基質特異性に顕著な差は見られなかった。この結果から両種の主要色素のアシル基の違いは、アシル基転移酵素の基質特異性によるものではなく、細胞内における donor であるアシルグルコースの蓄積量比が異なる可能性が示唆された。
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© 2008 日本植物生理学会
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