日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第49回日本植物生理学会年会講演要旨集
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イネ葉緑体型PEPCの発現様式と機能の解析
*増本 千都大河 浩谷口 洋二郎福田 琢哉深山 浩徳富(宮尾) 光恵
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p. 0047

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抄録
ホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼ (PEPC)は、ホスホエノールピルビン酸と重炭酸イオンからオキサロ酢酸と無機リン酸を生成する反応を触媒する酵素で、高等植物をはじめ藻類、細菌などに広く存在している。これまでに知られているPEPCはすべて細胞質局在性であるが、イネは葉緑体に局在するPEPC (Osppc4)をもつ。今までのところ、葉緑体型PEPC遺伝子はイネ栽培種と野生種を含むOryza属でのみ確認されている。
Osppc4はイネのすべての器官で発現したが、緑色器官、特に葉身と葉鞘で強い発現を示した。プロモーターGUS解析により、Osppc4は葉身と葉鞘では緑色柔細胞 (葉肉細胞)で発現すること、穎花と枝梗では緑色柔細胞に加え維管束でも発現することがわかった。RNAi法でOsppc4の発現を抑制すると、葉身のPEPC活性が30-35%低下したことから、葉緑体型PEPCが葉身全PEPCタンパク質の約1/3を占めることがわかった。一方、登熟初期の穎花ではPEPC活性はほとんど低下せず、穎花のOsppc4含量はかなり低いことが示唆された。Osppc4の発現を抑制すると、栄養生長期の個葉光合成速度はほとんど変化しなかったが、生育が若干抑制された。一方、登熟期においては、顕著な登熟遅延と収量の低下が認められた。
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© 2008 日本植物生理学会
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