日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第49回日本植物生理学会年会講演要旨集
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緑藻クラミドモナスにおける無機炭素濃縮機構を制御するCCM1複合体の質量分析法を用いた解析
*山原 洋佑中野 博文小澤 真一郎高橋 裕一郎福澤 秀哉
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p. 0055

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抄録
多くの水生光合成生物は、無機炭素が不足すると、能動的に無機炭素を細胞内に取り込む無機炭素濃縮機構(CCM)を誘導する。我々は緑藻クラミドモナスにおけるCCMを制御するマスター因子CCM1を発見し、その機能に亜鉛の配位が必要であることを示してきた。CCM1タンパク質は細胞内で複合体を形成することが示唆されたので、今回そのCCM1複合体を精製し、その構成成分を質量分析法で解析したので報告する。
FLAGタグをC末端に付与したCCM1を発現する緑藻クラミドモナスを形質転換により作出した。この細胞から抽出した可溶性タンパク質からAffinity Gel に吸着するCCM1-FLAGを回収後、バッファで洗浄し、3×FLAG peptideで競合溶出させた。このサンプルと、非形質転換株の可溶性タンパク質を同様に処理したサンプルの泳動パターンを比較し、質量分析に供するタンパク質を選抜した。CCM1タンパク質は、そのcDNA配列からCCM1-AおよびCCM1-Bの2種類が存在すると推定されていたが、LC-MS/MS解析により、少なくともCCM1-Aタンパク質が発現していることが示唆された。また、アミノ酸配列データベース(JGI ver3.1)と照合することで、CCM1と共に精製されたタンパク質の一次構造を推定した。CCM1の修飾ならびに複合体成分の特徴からCCM1の機能について考察する。
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© 2008 日本植物生理学会
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