日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第49回日本植物生理学会年会講演要旨集
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ヒメツリガネゴケAINTEGUMENTA/PLETHORA/BABY BOOM相同遺伝子は幹細胞の性質を制御する
*青山 剛士日渡 祐二執行 美香保伊藤 元己林 謙一郎長谷部 光泰
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p. 0060

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抄録
幹細胞は自己複製をしながら分化細胞を作り出す細胞である。多細胞生物の発生過程においては、多様な幹細胞がそれぞれ様々な分化細胞を作り出す事が不可欠である。しかしながら、多様な幹細胞がどの様な分子機構で形成されるかについてはほとんど明らかになっていない。今回、ヒメツリガネゴケにおけるAINTEGUMENTA/PLETHORA/BABY BOOM相同遺伝子であるPpAPB1,2,3,4遺伝子の機能解析を行なったところ、PpAPB遺伝子が幹細胞の性質の決定を制御していることが分かった。ヒメツリガネゴケでは原糸体細胞が原糸体頂端幹細胞と茎葉体頂端幹細胞のどちらかへと分化する。後者への分化はサイトカイニンによって促進されるが、PpAPB遺伝子の四重遺伝子破壊株を作出したところ、サイトカイニンの有無にかかわらず、茎葉体頂端幹細胞の転換が起こらなかった。このことから、PpAPB遺伝子は原糸体細胞からの茎葉体頂端幹細胞の分化に必要不可欠な因子であることが分かった。一方、発現解析の結果、PpAPB はサイトカイニンではなくオーキシンによって発現制御を受けている事が示唆された。これらの結果と、現在進行中のアンチオーキシンBH-IAAを用いた生理学実験の結果を併せて、ヒメツリガネゴケの幹細胞形成過程におけるPpAPB、オーキシン、サイトカイニンの役割について議論したい。
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© 2008 日本植物生理学会
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