日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第49回日本植物生理学会年会講演要旨集
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胚発生および老化に関与するプラスチドタンパク質Cdfの機能解析
*川合 真紀吉田 江里Aydilek Omer内宮 博文
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p. 0062

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抄録
Cdf1 (Cell growth defect factor-1)は酵母内で発現させると細胞死を引き起こすシロイヌナズナ遺伝子として単離された (Kawai-Yamada et al, JBC, 2005)。シロイヌナズナには本因子の相同遺伝子が他に2個 (Cdf2, Cdf3)存在するが、それらの機能に関する知見は無い。植物に広く保存されたCdfファミリーの生理機能を解明することを目的として、まず本因子の細胞内局在を調べるため、Cdf1-3をGFPとの融合タンパク質としてシロイヌナズナで発現させた。その結果、Cdf1-3はいずれもプラスチド包膜上に局在することが明らかとなった。また、Cdf1のヘテロT-DNA挿入植物体は栄養成長期の生育には異常を示さないが、ホモ個体は致死となり、球状胚のステージで胚発生が停止していた。この表現型はCdf1の過剰発現により相補されたことから、正常な胚発生の進行にはCdf1が必要であることが明らかとなった。一方、Cdf2およびCdf3の欠損植物体では胚発生の異常は観察されなかった。また、Cdf1の過剰発現植物では葉の暗所老化が促進され、一方、Cdf2やCdf3のT-DNA挿入個体では暗所老化が抑制されることが明らかとなった。Cdfファミリー遺伝子と胚発生、および老化制御の関係について考察する。
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© 2008 日本植物生理学会
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