日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第49回日本植物生理学会年会講演要旨集
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耐病性機構の負の制御因子OsPti1aを介したシグナル伝達機構の解析
*松井 英譲加星(岸) 光子山崎 宗郎宮尾 安藝雄高橋 章廣近 洋彦
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p. 0077

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抄録
OsPti1aはOsRAR1の上流で機能し、真性抵抗性だけではなく基礎的抵抗性の発現も負に制御する因子である。培養細胞を用いた解析から、OsPti1aは活性酸素による細胞死の誘導シグナルの抑制に関与している可能性が示唆された。そこでOsPti1aを介した耐病性シグナル伝達機構を明らかにするために、OsPti1aに結合する因子Pip1(Ospti1-interacting protein 1) を単離した。Pip1はAGC kinaseをコードし、AGC kinaseの制御因子であるPdk1と相互作用すること、またin vitro kinase assayの結果からPdk1-Pip1-Pti1aというリン酸化を介したシグナル伝達が想定された(昨年度大会)。Pip1、Pdk1の機能を解析するため、Tos17ミュータントパネルからpdk1変異体を単離するとともに、Pip1Pdk1高発現イネ(Pip1-OE, Pdk1-OE)を作出した。シロイヌナズナのOXI1( oxidative signal inducible 1)と高い相同性を示すPip1は、H2O2で発現が誘導されるだけでなく、Pip1-OE培養細胞はospti1a変異体と同様に細胞死が強く引き起こされた。また、Pip1-OE及びPdk1-OEイネは親和性いもち病菌による病斑の形成が有意に減少したことから、Pip1及びPdk1は耐病性シグナル伝達を正に制御すると考えられた。以上の結果から、Pdk1-Pip1-OsPti1aを介した耐病性シグナル伝達機構について報告する。
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© 2008 日本植物生理学会
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