日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第49回日本植物生理学会年会講演要旨集
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寄生植物ストライガ( Striga hermonthica )の宿主植物認識機構に関する解析
*吉田 聡子白須 賢
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p. 0080

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抄録
根寄生雑草ストライガはアフリカを主とする半乾燥地帯に分布し、穀物の根に寄生する。中でもStriga hermonthica はトウモロコシやソルガムなどイネ科主要穀物を宿主とするため、多大な農業被害をもたらしている。ストライガ種子は宿主植物より分泌されるストリゴラクトンによって発芽誘導され、発芽した幼根は吸器を形成し宿主根に付着・侵入する。ストライガ吸器は宿主と自身の維管束系を連結させ、水分や栄養分を奪って生活する。しかし、この寄生成立過程における宿主・非宿主認識に関する知見は未だ乏しい。そこで我々は、ストライガの宿主認識機構を明らかにするために、宿主(イネ、トウモロコシ)および非宿主植物(シロイヌナズナ、ミヤコグサ、ササゲ)にS. hermonthica を感染させ、経時的な観察をおこなった。その結果、1.ストライガ幼根の付着・侵入初期の過程において宿主特異性が見られないこと、2.非宿主植物ミヤコグサの皮層において寄生植物侵入を防ぐ機構があること、3.宿主植物イネにおいてストライガが内皮より内側に侵入できなくなる場合があること、が明らかになった。また、半寄生植物コシオガマを宿主として感染を試みたところ、ストライガ幼根は宿主を認識することが出来なかった。これらの結果から、ストライガの非宿主認識には少なくとも4パターンが存在すると考えている。
また、S. hermonthica のESTプロジェクトに関しても合わせて紹介したい。
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© 2008 日本植物生理学会
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