日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第49回日本植物生理学会年会講演要旨集
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リン酸化修飾を受けたイネCPD光回復酵素の機能解析
*寺西 美佳中村 憲太郎高橋 正明熊谷 忠日出間 純
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p. 0085

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抄録
UVB照射により生じるDNA損傷であるシクロブタン型ピリミジン二量体(CPD)を修復するCPD光回復酵素は、イネのUVB抵抗性を左右する主要な因子である。CPD光回復酵素は、アミノ酸配列の相同性からクラスIとクラスIIに分類されており、クラスIの諸特性は大腸菌を用いて良く解析されているが、クラスIIについての知見は乏しい。そこで、イネ葉からCPD光回復酵素の精製を行い、精製標品を用いてその諸特性の解析を行った。精製したタンパク質をSDS-PAGEに供したところ、約54kDaと56kDaのタンパク質を含んでおり、CPD光回復酵素抗体を用いたウエスタンブロットの結果などから、2つともCPD光回復酵素であると考えられた。精製したCPD光回復酵素に対し、タンパク質脱リン酸化酵素を反応させ、SDS-PAGEを行ったところ、約56kDaのバンドが減少し、54kDaのバンドが増加したことから、イネのCPD光回復酵素はリン酸化修飾を受けていることを見出した。一方、イネCPD光回復酵素のcDNA配列をもとに、大腸菌にて発現・精製したタンパク質は、約55kDaタンパク質のみからなり、リン酸化修飾を受けていないと考えられた。また、大腸菌発現イネCPD光回復酵素は、イネから精製した酵素と比較してタンパク質量あたりの活性が低くかった。以上の結果から、CPD光回復酵素のリン酸化修飾の機能について考察する。
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© 2008 日本植物生理学会
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