日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第49回日本植物生理学会年会講演要旨集
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シロイヌナズナ葉緑体 rRNA の成熟化に異常がある nara12 変異株の解析
*西村 健司小川 太郎蘆田 弘樹横田 明穂
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p. 0101

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抄録
植物の光合成器官である葉緑体には、独自のゲノム DNA とタンパク質合成系が存在する。これまで、植物葉緑体におけるタンパク質合成に関する多くの研究が行われてきたが、いまだその分子メカニズムは十分理解されているとは言えない。本研究では、葉緑体タンパク質合成に関する新たな知見を得るために、葉緑体において緑葉可溶性タンパク質の約5割を占める程多量に合成される RuBisCO をモデルタンパク質として、その蓄積量が減少したシロイヌナズナ nara (genes necessary for the achievement of RuBisCO accumulation) 変異株をスクリーニングしてきた。これら変異株のひとつである nara12 は、葉緑体ゲノムにコードされる RuBisCO 大サブユニットの翻訳効率が大きく低下していた。またRuBisCO だけでなく、その他の光合成関連の葉緑体タンパク質の蓄積量も減少していた。葉緑体の翻訳に異常が見られたことから、葉緑体ribosomal RNA (rRNA) 量を解析したところ、23S rRNA のプロセシングに異常があることが分かった。一方、その他の葉緑体 rRNA のプロセシングへの影響は比較的軽微であった。以上のことから、nara12 の原因遺伝子は葉緑体の 23S rRNA のプロセシングに関わることが示唆された。
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© 2008 日本植物生理学会
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