日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第49回日本植物生理学会年会講演要旨集
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タイリングアレイを用いたシロイヌナズナの種子におけるトランスクリプトーム解析
*岡本 昌憲松井 章浩石田 順子諸澤 妙子遠藤 高帆望月 芳樹小林 紀郎豊田 哲郎南原 英司篠崎 一雄関 原明
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p. 0126

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抄録
アブシジン酸(ABA)は種子休眠を制御する主要な植物ホルモンである。我々は、ABAによって制御される種子休眠・発芽を制御する遺伝子群やその制御機構を明らかにするために、ABA欠損変異株(aba2)とABA過剰蓄積変異株(cyp707a1 cyp707a2 cyp707a3)の種子におけるタイリングアレイを用いたトランスクリプトーム解析を行った。その結果、予想に反して乾燥種子における遺伝子発現変化は変異株と野生株の間で大きな差は認められなかった。一方、吸水24時間後の種子では多数の遺伝子発現が認められ、種子におけるABA応答性遺伝子群を同定した。さらに、我々は重複のない4884の新奇遺伝子を種子から同定した。驚いたことに新奇遺伝子の約93%がタンパク質をコードしていないものであることが推測された。また、新奇遺伝子が既存の遺伝子とantisense関係にあるものや、既知の遺伝子と遺伝子の間で発現しているもの、新奇遺伝子どうしがsense鎖とantisense鎖の関係にあるものなど、非常に様々なタイプの転写がゲノム上で行われているこが明らかとなった。現在、タイリングアレイによって明らかにされたタンパク質をコードしていないと推定される新奇遺伝子に着目して、機能解析を進めている。
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© 2008 日本植物生理学会
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