日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第49回日本植物生理学会年会講演要旨集
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メバロン酸経路の完全遮断は雄性配偶体致死となる
*鈴木 優志中川 祥子小林 啓子大山 清上出 由希子橋之口 裕美木内 玲子斉藤 和季村中 俊哉永田 典子
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p. 0144

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抄録
植物は細胞質のメバロン酸(MVA)経路とプラスチドの非メバロン酸(MEP)経路の二つのイソプレノイド生合成経路を持つ。MEP経路の発見以来、両者間のクロストークの有無は大きな研究テーマであった。クロストークの存在を示した投与実験は数多く報告されているものの、外からの投与でない内生のクロストークが片方のイソプレノイド生合成経路の欠損を補えるかどうかは未だ明らかではない。我々はこれまでにMVA経路のHMG-CoAレダクターゼをコードするシロイヌナズナHMG1HMG2の変異体をこれまでに単離・解析してきた。内生のクロストークが植物の発生にどの程度寄与できるのかを調べるためにhmg1 hmg2二重変異体を作成した。しかし、二重変異体は得られず、掛け合わせ実験と顕微鏡観察の結果から二重変異体小胞子は配偶体致死になることが二重変異体の得られない原因であることがわかった。このことはプラスチドからの内生のクロストークが少なくとも雄性配偶体形成時においてMVA経路を補填できないことを示している。
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© 2008 日本植物生理学会
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