日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第49回日本植物生理学会年会講演要旨集
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リン酸欠乏時のガラクト脂質合成とスルホ脂質合成はSLR/IAA14とARF7/19により異なる制御を受ける
*成瀬 孝史小林 康一馬場 信輔深城 英弘太田 啓之
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p. 0145

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抄録
リン脂質を、リンを含まない糖脂質に置き換える膜脂質転換はリン酸欠乏への適応機構の一つである。近年、オーキシンがこの応答に関与することが明らかになった。本研究では、オーキシンとリン酸欠乏応答の関係を明らかにするため、オーキシンのシグナル伝達に関わる二つのファミリーAux/IAA、ARFのうち、IAA14、ARF7、ARF19の変異体を用いて研究を行った。脂質解析の結果、オーキシン抵抗性の変異体slrarf7arf19において、リン脂質を分解し、糖脂質digalactosyldiacylglycerol (DGDG)とsulfoquinovosyldiacylglycerol (SQDG) を合成する応答が抑制されていることがわかった。DGDG合成とSQDG合成にはmonogalactosyldiacylglycerol synthase (MGD) 2/3 とsulfoquinovosyldiacylglycerol synthase (SQD) 1/2 が関与している。発現解析の結果、SQDGの合成については、SQD1/2の発現上昇の抑制がみられた。一方、MGD2/3はリン酸十分条件からすでに発現が低下しており、これがDGDG蓄積の抑制に大きく寄与していると考えられる。このことから、オーキシンがガラクト脂質合成とスルホ脂質合成に異なる形で寄与することがわかった。
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© 2008 日本植物生理学会
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