日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第49回日本植物生理学会年会講演要旨集
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ヒノキレジノール生成反応の幾何選択性はヒノキレジノール合成酵素のサブユニット組成に依存する
*鈴木 史朗山村 正臣服部 武文中坪 朋文梅澤 俊明
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p. 0143

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抄録
ノルリグナン類は、スギやヒノキ、セコイアなどの針葉樹の心材部に多く蓄積するいわゆる心材成分であるとともに、アスパラガスなどの単子葉植物ではファイトアレキシンとして産生される。我々は、アスパラガスとスギ培養細胞由来の粗酵素が、クマル酸のクマリルアルコールエステル体であるクマル酸クマリルをノルリグナンの一種であるヒノキレジノールへと変換できることを明らかにしてきた。しかし、このノルリグナン合成の初発反応を触媒する酵素の実体については不明であった。そこで、酵素をコードする遺伝子を明らかにすることを目的として実験を行った。
ヒノキレジノールを産生するアスパラガスの培養細胞より、活性を指標に酵素を精製したところ、精製酵素に2種類のポリペプチドが見出された。それぞれのポリペプチドの部分アミノ酸配列をもとに遺伝子をクローニングし、各々のORF(ヒノキレジノール合成酵素と命名)を大腸菌で発現させた。得られた組換え酵素の活性を測定したところ、いずれもクマル酸クマリルからトランス体ヒノキレジノールのみを与えた。一方、2種類の組換え酵素を等モル混合してクマル酸クマリルと反応させるとシス体のヒノキレジノールのみを与えた。天然型酵素および組換え酵素がいずれも2量体であることから、ヒノキレジノール生成反応の幾何選択性はヒノキレジノール合成酵素のサブユニット組成に依存することが強く示唆された。
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© 2008 日本植物生理学会
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