日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第49回日本植物生理学会年会講演要旨集
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光とサイトカイニンによるシロイヌナズナMGDG合成酵素遺伝子の発現制御
*馬場 信輔小林 康一Kakimoto Tatsuo太田 啓之
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p. 0146

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抄録
チラコイド膜では、モノガラクトシルジアシルグリセロール(MGDG)という葉緑体特異的な糖脂質が、膜脂質全体の約半分を占めている。MGDGは光化学系複合体にも強固に結合しており、葉緑体の機能に重要であると考えられる。当研究室では、シロイヌナズナにおいてMGDG合成酵素遺伝子を単離し、その機能や制御の解析を行なってきた。これまでの解析から、MGDG合成酵素は光合成器官で働くtypeA(MGD1)、非光合成器官で働くtypeB(MGD2,3)の2つのタイプに分類でき、MGD1のノックアウト体の解析から、MGD1による糖脂質合成がチラコイド膜の形成に重要であることが分かった。さらに、MGDG合成酵素遺伝子の発現は、光とサイトカイニンによって上昇することが示された。本研究では、光とサイトカイニン受容体の変異体を用い、MGDG合成のシグナル機構について解析を行なった。変異体の脂質定量の結果から、光とサイトカイニン両方がMGDG合成を制御していることが分かった。特に、サイトカイニンレセプターahk2ahk3の変異体において、発芽直後のMGDGに大きな減少が見られた。また、光照射直後の変異体において、MGD1の発現の一過的な減少が見られた。さらに、クロロフィル量も減少していたことから、光とサイトカイニンによる糖脂質合成の制御が、葉緑体の分化に影響していることが示唆された。
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© 2008 日本植物生理学会
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