日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第49回日本植物生理学会年会講演要旨集
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グルココルチコイド誘導系を用いたシロイヌナズナCUC1の下流遺伝子の解析
*清水 聡子椿本 有雅田坂 昌生相田 光宏
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p. 0170

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抄録

高等植物では、地上部の器官形成の大部分を茎頂分裂組織が担う。シロイヌナズナのCUP-SHAPED COTYLEDON1CUC1)、CUC2CUC3遺伝子は、NACドメインを持つ転写活性化因子をコードし、茎頂分裂組織の形成および様々なシュート器官境界部の形態形成に重要な役割を果たす。これまで主にマイクロアレイを用いたスクリーニングから、CUC遺伝子群の下流で機能すると予想される遺伝子が24個選抜されている。
今回これらの下流候補遺伝子の性質を詳しく調べるため、CUC1とグルココルチコイド受容体の融合タンパク質(CUC1-GR)を発現する植物を用いて、CUC1-GRの活性化が各遺伝子の発現に及ぼす影響を調べた。その結果、デキサメタゾンによるCUC1-GR活性化処理後、3時間で発現量が増加する遺伝子が3つあることがわかった。さらに、タンパク質合成阻害剤であるシクロヘキシミドの存在下でCUC1-GR活性化処理をおこなったところ、先の3つの遺伝子を含む10個の遺伝子において発現の上昇がみられた。以上から、これらの遺伝子がCUC1タンパク質による転写活性化の直接の標的であることが示唆された。現在10個の標的候補遺伝子のうち1つについて、プロモーターとルシフェラーゼとの融合遺伝子を用いたトランジェントアッセイを行うことでCUC1の標的領域の同定を進めている。

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© 2008 日本植物生理学会
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