日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第49回日本植物生理学会年会講演要旨集
会議情報

イネ茎頂分裂組織における側生器官分化機構の解析
加藤 万希雄北野 英己*佐藤 豊
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 0171

詳細
抄録
植物の地上部は未分化な細胞の集団からなる茎頂分裂組織(SAM)から葉・茎・腋芽を連続的に形成することにより構築される。植物体の正常な発生にはSAM内における未分化な細胞の維持と葉原基などの側生器官への分化が厳密に調節されている必要がある。これまでに、未分化細胞の維持機構や葉原基の分化パターンについては多くの研究がなされているが、茎頂分裂組織における葉原基の細胞分化過程に関してはほとんど明らかにされていない。
KNOTTED型のホメオボックス遺伝子のひとつであるイネのOSH1は茎頂分裂組織の未分化な細胞で発現し、葉原基へと分化の決定づけられた細胞群(P0細胞群)で発現が抑制されることが知られている。したがって、OSH1は茎頂分裂組織における葉原基の細胞分化を可視化する分子マーカーとして利用できる。そこで、本研究では抗OSH1抗体を用いた免疫染色法により茎頂分裂組織におけるP0細胞群を可視化し、その分化過程を解析した。
その結果、野生型のイネ(金南風)のP0細胞群分化期の茎頂分裂組織は約150細胞からなり、葉原基分化の初期過程において、約40細胞からなるP0細胞群が分化することが明らかになった。また、P0細胞群は系統間での茎頂分裂組織の形や大きさの違いとは無関係にほぼ同じ細胞数で構成されていた。本発表では、これらの結果から考えられるP0領域の分化機構について考察する。
著者関連情報
© 2008 日本植物生理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top