日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第49回日本植物生理学会年会講演要旨集
会議情報

根粒形成の全身的制御に関わるミヤコグサペプチドの探索
*岡本 暁佐藤 修正田畑 哲之川口 正代司
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 0176

詳細
抄録
マメ科植物は自身の生長に応じて根粒の数を柔軟に制御する機構を持っており、これは根とシュートを介した全身的な制御機構であることがわかっている。この機構に関わる因子としてミヤコグサ(Lotus japonicus)から単離されたHAR1はシュートから根粒形成を抑制し、シロイヌナズナの受容体型キナーゼ(RLK)の中でCLAVATA1(CLV1)と最も相同性の高いRLKをコードしていた。CLV1はCLV3ペプチドをリガンドとして認識すると考えられていることから、HAR1のリガンドもCLV3様(CLE)ペプチドである可能性がある。そこで本研究ではミヤコグサゲノム情報からCLE遺伝子様配列を32個同定し、根粒菌接種による発現応答を調べた。その結果、LjCLE1, LjCLE2, LjCLE3の発現量が根で顕著に上昇した。これらのLjCLEを根で過剰発現させたところ、LjCLE1, LjCLE2がHAR1依存的に根粒形成を強く抑制した。また、LjCLE1, LjCLE2は根粒菌の接種により速やかに発現が誘導され、その発現誘導にはNodファクター及びそのシグナル伝達経路の構成因子が必要であった。以上の結果からLjCLE1, LjCLE2は根粒形成の全身的制御に関わる有力な候補であることが示唆された。
著者関連情報
© 2008 日本植物生理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top