日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第49回日本植物生理学会年会講演要旨集
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葉の横方向への極性伸長制御因子・ANGUSTIFOLIAはCtBPともBARSとも異なる機能を持つ
*南澤 直子上田 貴志二歩 裕Cho Kiu-Hyung堀口 吾朗中野 明彦塚谷 裕一
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p. 0184

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抄録
シロイヌナズナのANGUSTIFOLIA (AN)は、動物のCtBP(転写抑制因子)/BARS(ゴルジ体の維持因子)のホモログに相当する。ANは微小管の配向を介して、葉の細胞の横方向への極性伸長に関わる可能性が示唆されている。先行研究では、ANの核局在性やan変異体のマイクロアレイ解析から、ANはCtBPとして機能すると推測されていた。しかし、ANのBARSとしての機能の有無が未解析の上、ANがCtBPの機能に必須なアミノ酸残基を欠いていることから、ANの分子機能は改めて検討する必要がある。本研究では、スワッピング実験及び細胞内局在の解析から、ANの分子機能を明らかにしようと試みた。まず、キイロショウジョウバエにおいてdCtBPの機能をANが代替するかどうか解析したところ、結果は否定的だった。次に、ANGFPのキメラ遺伝子を、シロイヌナズナan変異体に発現させた変異相補系統を新たに作成した。その結果、AN-GFPは核への局在を示さなかった。また、ANの核局在シグナル様配列に変異を導入した変異型ANも、an変異体の表現型を相補した。以上のことから、極性伸長制御において、ANがCtBPとして機能するとは考えにくい。その一方、AN-GFPの細胞内局在を観察すると、ゴルジ体に隣接してドット状の構造を作る、新規の局在パターンが見られた。これはBARSとしての機能からも想定しがたい局在パターンである。ANのこの様な局在と細胞の極性伸長制御の関連について、現在解析を進めている。
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© 2008 日本植物生理学会
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