抄録
フィトクロム(phy)は多岐にわたる光形態形成・光生理反応を担う主要な光受容体であり、イネでは3つの遺伝子(PHYA, PHYB, PHYC)が存在する。phyAphyBphyC突然変異体は野生型イネに比べて節間や葉身等の形態に著しい変化を示す。また、phyAphyBphyC変異体はエチレン生合成関連遺伝子の1つで、冠水時の浮稲の節間伸長との関連が示唆されているACCオキシダーゼ遺伝子Aco1の転写量が顕著に高いことがわかっている(清田ら 第46回本年会)。今回我々は、phy欠損によるAco1プロモーター活性への影響について調べるために、Aco1プロモーターの下流にGUS遺伝子をつないだコンストラクトを野生型イネ及びphyAphyBphyC変異体に導入して発現解析を行ったので報告する。GUS活性の局在はphy欠損しても大きな変化がみられなかったが、野生型イネよりもphyAphyBphyC変異体で高い活性を示すことがわかった。また、出穂時の野生型イネにおいてGUS活性の高い部位が伸長節間中に存在することがわかった。