日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第49回日本植物生理学会年会講演要旨集
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青色光受容体フォトトロピン2重変異体からの気孔開度変異体の単離
*木下 俊則小野 奈津子井上 晋一郎島崎 研一郎
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p. 0214

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抄録
青色光受容体フォトトロピン(phot1, phot2)は、光屈性、葉緑体光定位運動、気孔開口、葉の横伸展等の光受容体として機能することが知られている。青色光による気孔開口において、孔辺細胞で発現するフォトトロピンに受容された光シグナルは、最終的に細胞膜H+-ATPaseを活性化することにより、気孔開口の駆動力を形成することがわかっているが、フォトトロピンから細胞膜H+-ATPaseに至る細胞内シグナル伝達については、不明の部分が多い。本研究では、気孔があまり開いていないフォトトロピン2重変異体に対しEMS処理を行った植物体を用いて、葉の横伸展と気孔開度を指標にスクリーニングを行い、気孔が顕著に開口している復帰突然変異体のスクリーニングを行った。単離した変異体のうち、db10-2と名付けた変異体は、明暗条件下で常に気孔が開口していたが、アブシジン酸に対しては感受性が見られた。また、孔辺細胞プロトプラストにおける細胞膜H+-ATPaseのリン酸化状態及び活性を調べた結果、この変異体のH+-ATPaseは常に活性化された状態であることがわかり、このためdb10-2変異体では気孔が顕著に開口していることが推察された。現在、原因遺伝子の同定に向けマッピングの準備を進めており、この進捗状況も報告する予定である。
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© 2008 日本植物生理学会
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