日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第49回日本植物生理学会年会講演要旨集
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プラスチド核様体の形態変化を指標とした斑入り植物分類の試み
*宇野 康之加藤 裕介松島 良坂本 亘
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p. 0225

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抄録
斑入りの白色セクターは、プラスチド分化が異常な生細胞で構成されている。近年の分子遺伝学的研究から、様々な斑入り変異の原因遺伝子が明らかにされる一方で、斑入りの形態形成機構については未知の部分が多い。以前に私たちは、シロイヌナズナの斑入り変異体<I>var2</I>の白色セクターが未分化なプラスチドを持ち、加えて葉緑体への分化過程に見られる特徴的な核様体構造を持つことを明らかにした。このことは、DAPI染色などによる核様体の形態変化により斑入り組織におけるプラスチドの分化状態を比較的簡易に区別出来る可能性を示している。そこで本研究では、まず葉緑体分化過程における普遍的なプラスチド核様体の形態変化を把握し、次に様々な植物の斑入りにおける核様体の形態をこれにあてはめることで斑入りを分類することを試みている。テクノビット樹脂薄切片とDAPI染色法を用いた顕微鏡観察により、野生型植物(シロイヌナズナ、オオムギ)でのプラスチド核様体の変化を葉の生育過程で解析した。その結果、未発達なプラスチドでは核様体はプラスチドの周囲を覆うように局在し、その後プラスチドが葉緑体に分化するのに伴い核様体は包膜近傍で肥大し、やがて葉緑体分化の後期には核様体は収縮し、分散することが観察された。これら葉緑体分化過程で観察された核様体の変化と、斑入り植物で観察される核様体の構造変化による分類を現在進めている。
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© 2008 日本植物生理学会
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