日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第49回日本植物生理学会年会講演要旨集
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タバコNtPolI-like 遺伝子産物は細胞増殖初期における一過的なオルガネラDNA合成の活性化に関与するDNAポリメラーゼである
*酒井 敦澤井 優田草川 真理高野 博嘉
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p. 0227

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抄録

我々はタバコ培養細胞BY-2からバクテリアDNAポリメラーゼIホモログのcDNAを2種類単離し、対応する遺伝子をNtPolI-like1およびNtPolI-like2と名付けた。両遺伝子はアミノ酸および塩基配列レベルで97-98%と、実質的に同一といってよいほどの高い相同性を示す。遺伝子産物はDNAポリメラーゼ活性をもち、色素体とミトコンドリアの両方に輸送され、色素体核およびミトコンドリア核の両方に存在すること、その分子量や生化学的性質はオルガネラ核に含まれるDNAポリメラーゼ活性のそれと一致することが明らかになっていた。さらに、オルガネラDNA合成が一過的に活発化する時期にNtPolI-like転写産物が一過的に増加することも分かっていた。今回、転写産物レベルだけではなく、単離オルガネラ核中に含まれるNtPolI-likeタンパク質量も、植え継ぎ直後の細胞増殖ごく初期に一過的に増加することを確認したので報告する。NtPolI-likeタンパク質量の変化は、オルガネラのDNA合成活性やDNAポリメラーゼ活性量の変化と極めてよく一致しており、NtPolI-like産物が細胞増殖初期に見られる一過的なオルガネラDNA合成の活性化に関与するDNAポリメラーゼであることを強く示唆する。現在、NtPolI-likeの発現とオルガネラDNA合成活性との関係についてさらに検討中である。

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© 2008 日本植物生理学会
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