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ミトコンドリアは、分裂・融合・移動を繰り返し、その形態と細胞内での分布を頻繁に変化させる極めてダイナミックな細胞内小器官である。このダイナミクスの制御は細胞の生存に必要不可欠であるが、その分子機構と植物の発生・成長における重要性は未だ不明な点が多い。本研究では、進化的に保存されたミトコンドリア局在型GTPase、Miroの植物の発生における寄与について解析した。シロイヌナズナで見い出されたMiro遺伝子のひとつAtMIRO1は、さまざまな組織で発現し、その遺伝子産物はC末端膜貫通領域を介してミトコンドリアに局在していた。AtMIRO1のホモ挿入変異株は胚発生の極めて初期の段階で致死となり、またヘテロ変異株由来の花粉では花粉管の発芽と伸長が抑制された。この変異型の花粉では、異常に肥大化した形態を示すミトコンドリアが観察された。これらのことから、AtMIRO1により制御されるミトコンドリアのダイナミクスは、正常な胚発生と花粉の機能に重要であることが示唆された。