日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第49回日本植物生理学会年会講演要旨集
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シロイヌナズナELM1はミトコンドリア分裂因子DRP3Aの分裂部位への局在に必要である
*有村 慎一藤本 優洞庭 葉子角谷 直紀坂本 亘堤 伸浩
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p. 0231

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抄録
ミトコンドリアの分裂は、ダイナミン様タンパク質が細胞質から分裂部位へとリクルートされて、遂行される。シロイヌナズナでは、DRP3A、DRP3B(旧名ADL2a, ADL2b)がこのオルソログとして機能しているが、その他の周辺因子についてはほとんど情報がない。我々は、ミトコンドリアの形態が長大化した突然変異体のスクリーニングとマッピングから、ミトコンドリア分裂にかかわる新規因子ELM1を同定したのでこれを報告する。elm1 (elongate mitochondria) 変異体は、細胞内に著しく長く枝分かれしたミトコンドリアを持ち、また細胞あたりのミトコンドリア数は減少している。この表現型はdrp3a変異体に極めてよく似ている。クローニングされた責任遺伝子ELM1は既知のドメイン構造を持たず、また高等植物からのみ全長の相似配列が見出された。ELM1:GFP融合タンパク質の観察などの結果からELM1はミトコンドリアの外膜外側に一様に局在していると考えられる。elm1変異体の細胞内では、DRP3A:GFPはミトコンドリア分裂部位には見出されず、細胞質に存在する様子が観察された。さらに、この変異体にELM1遺伝子を誘導発現させることによって、DRP3A:GFPが細胞質からミトコンドリアへと局在していく様子と、ミトコンドリアの形態が野生型へと復帰することを確認した。これらの結果から、ELM1はDRP3Aが細胞質からミトコンドリアへとリクルートされるために必要な因子であると考えられる。
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© 2008 日本植物生理学会
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